市民公開セミナー 睡眠時無呼吸症候群とは?

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第14回 つらい痛みの尿路結石

第13回 便秘を改善!腸スッキリ生活術

第12回 睡眠時無呼吸症候群とは?

第11回 もしも、私が乳がんと言われたら

第10回 本当はコワイ整形の病気

第9回 どうする?今年の花粉症の季節

第8回 口の中からひろがる病気、口の中からひろげる健康

第7回 家庭内で起こる子供のあんなこと、こんなこと。

第6回 眼の疲れは歳のせい?

第5回 あなたの心臓を守ろう!

第4回 メタボリックシンドローム(生活習慣病の予防・改善のために)

第3回 私の腰痛よくなりますか?

第2回 トイレの悩み一人で抱えていませんか?

第1回 乳がんなんかに負けないぞ!


お問い合わせ
東北公済病院
地域医療センター
電話:022-227-2353(直通)
FAX:022-264-4151(直通)

循環器内科
 
 
睡眠時無呼吸症候群とは?

「たかがいびき されどいびき」 飛田 渉 (東北公済病院健康医学センター所長)
「睡眠時無呼吸と循環器疾患の意外な関係」 鈴木 秀 (東北公済病院循環器内科部長)
第12回市民公開セミナー 平成27年10月31日(土)13:00〜16:00
会場:東北公済病院 1階 アメニティホール

国分町市民大学健康講座「睡眠時無呼吸症候群とは」をテーマにアメニティホールで開催しました。
今回は秋開催となりましたが、当日は100名以上のご参加を頂き、皆様熱心に講義を受講され、各コーナーでは相談をされていました。

13:00〜開場
 薬相談・栄養相談
 フットケア体験
 ロコモ体操
 脳トレ体験
 AED体験
 訪問看護・介護相談
 在宅酸素体験(フィリップス・レスピロニクス他)
を会場に設け、専門職からの相談アドバイス、実演を行いました。
また、当日セミナーに出席されたみなさまに、当院栄養士手作りの「白玉黒蜜ジンジャー」が振舞われました。

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14:00〜司会者挨拶

14:05〜開会挨拶 岡村学長
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一時限目
「たかがいびき されどいびき」
飛田 渉 東北公済病院健康医学センター所長

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二時限目
「睡眠時無呼吸と循環器疾患の意外な関係」
鈴木 秀 東北公済病院循環器内科部長
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15:30〜 ディスカッション
ご来場者のご質問に対する回答、アドバイスなど
各先生・横山英子氏(司会)
 
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16:00 終了

アンケート結果
参加者数 105名(男性55名、女性50名)

グラフ

今後の希望テーマ
男性
花粉症とアレルギー
アルツハイマー等痴呆症 予防・治療・介護
高齢者が多くなっているので、各種の事例の指導をしてください。
血液
躁うつ病について、前立腺
眼科に関する講演、消化器系(肝胆脾臓に関する講演。
女性
眼の病気について
薬の副作用について
ロコモ体操

その他、感想・ご意見
 
認知症の判断ができる簡単なコーナーがあれば良い
貴重な発表ありがとうございました。
SASの症状が現れたら早期受診が大事だと思いました。
身近なテーマで親しみやすく、大変勉強になりました。(他1件)
今回はフットケアコーナー、手洗い体験、AED体験など色々な相談、体験ができて良かったです。(他3件)
今後も継続して市民の健康の先導として取り組んでください。
この病気についてあまりリスクを知らなかったのでとても勉強になりました。
人間ドックの検査に最新の病気と関連のある検査を追加してほしい。
睡眠時無呼吸が循環器疾患に関係するとは知りませんでした。勉強になりました。
CPAPを初めてから2週間ですが、がんばって続けていきます。
とても良いイベントだと思います。病院のイメージも気持ちの良いものになりますね。
日頃悩んでいることを相談できるのは本当にありがたいもの。
これからも知識、情報をわかり易く教えてくれる場であってほしい。
スライドの文字の大きさが小さく見えにくかった。
高齢者の方が多かったので、会話的な簡単な話し方(内容)がいいかも知れません。
自分もSASかな・・・と不安になりました。夫も寝ている最中いびきと呼吸が止まっているので心配です。
初めて知りました。
初めての参加なので少し戸惑いもありましたが、受講して本当に良かったと思います。
他病院でドックを受診し、無呼吸症候群と診断され心配になり今日受講しました。
手洗いの後に器械で汚染を確認できて良かった。
自分自身もいびきを指摘されたことがあり、いびきだけでも前兆という話を聞き、今後のリスクなども考慮し、
検査を受ける機会があれば受けていきたいと思いました。

頂いた質問等
 
CPAPを使用したら治ることがありますか?どのくらい続ける必要がありますか?(他2件)
近くの開業医を受診して検査を受けるとすれば何科にいけばいいでしょうか?
公済病院を受診して検査を受けるとすれば何科に何曜日にいけばいいでしょうか?紹介状は?(他2件)
CPAPは自発呼吸の妨げにならないか、使用中の停電時はどういう状態になりますか?
年齢的に多い世代はありますか?(他1件)
太っていなくてもなるのはなぜですか?
不整脈と無呼吸症候群の可能性があるときはどちらを優先すべきですか?
いびきが大きいときは循環器の病院にいけばいいのでしょうか?
その日のうちに入院するかどうかわかりますか?
手術があるとすれば入院期間は何日くらいですか?
検査を受けてみたいのですが、費用はどのくらいですか?
一人暮らしですが、一人でも様子がわかるのかご指導ください。
以前SASのような症状がでていましたが、減量し収まりましたが、深酒するといびきがひどいです、治療は必要ですか?(他1件)
いびき止め薬はありますか?
SASの治療について、入院は必要ですか?治療期間はどれくらいですか?
1日ドックで診断が可能とのことですが、診断に要する時間は?
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たかがいびき、されどいびき

間歇的ないびきに注意

KKR東北公済病院 健康医学センター 飛田 渉

はじめに

 ヒトの一生は24時間を周期とした覚醒と睡眠の繰り返しで、人生の約1/3は睡眠時間と言えます。睡眠にともなって呼吸の働きも低下しますので、しばしば覚醒時に明らかでなかった呼吸の異常が出現します。その例として、21世紀の国民病とも言われる睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome, SAS)があります。寝ている時に、大きいいびきをかいたとおもったら急に静かになり、そのうち息を吹き返すようないびき,すなわち間歇的ないびきをかいている人は要注意です。
SASの疾患概念は1976年にスタンフォード大学のギルミノー教授により提唱されました。睡眠中に起こる10秒以上の気流停止を一回の無呼吸発作とし、この無呼吸発作が一晩のREM およびnon-REM睡眠にわたって30回以上出現する症候群と定義されました。現在は、日中の傾眠、中途覚醒、倦怠感などのSASに関連する臨床的な症状の有無も考慮して診断されるようになりました。30〜60歳を対象とした米国の疫学的調査によるとSASの発生頻度は男性の4%、女性の2%と報告されています。我が国でも同程度かそれ以上の頻度であると報告されております。SASは子供から大人まで全年齢層にみられます。重症例は働き盛りの40〜50歳代の男性に多くみられます。

 平成15年2月、山陽新幹線で新幹線が岡山駅の手前で停車する事故がありました。運転手の居眠りが原因でした。この運転手が後の精査でSASであることが明らかになりました。この事件を契機として、SASは社会一般の方々に認知されるようになりました。

病態について

 無呼吸のタイプには無呼吸時の呼吸努力の有無により閉塞型、中枢型、混合型の三つのタイプに分類されます。大部分が無呼吸中に、呼吸努力が認められ、胸壁と腹壁は奇異運動を示す閉塞型です(図1)。上気道開大筋の筋の緊張低下に基づく機能的な機序と咽頭粘膜への脂肪沈着、扁桃肥大、アデノイドや下顎発育不全など、咽頭腔の狭小化をきたす形態学的な機序があげられます。
 SASでは、睡眠中に無呼吸発作が頻回に生ずることによる低酸素血症や脳波上の覚醒(マイクロアローザル)による睡眠の質の低下が原因で、重要な臓器に障害が起こります。例えば肺においては肺動脈圧の上昇をきたし、重症例では右心不全を来します。体循環に於いては体血圧の上昇、心臓においては不整脈や虚血性心疾患が起こります。また、造血機能は亢進し、多血症となり、脳血栓や肺血栓塞栓症を起こしやすくなります。腎機能や肝機能も低下します。更に高次中枢機能も低下し、ADLの低下、記憶力や集中力の低下、性格の変化等がみられます(図2)。睡眠中の症状として間歇的ないびき、異常な体動、頻尿、夜尿、あえぎ呼吸、繰り返す覚醒、日中の症状として起床時頭痛、過眠傾向、居眠り、労作時の息切れ等がみられます。風邪は万病のもとと言われておりますが、SASも万病のもとと言っても過言ではありません。

 SASは健康障害だけではなく、社会的な問題も引き起こします。睡眠障害による睡眠時間の減少や日中過眠によって、生産性の低下や作業効率の低下、就業上のいろいろな事故数の増加が指摘されております。自動車事故も例外ではありません。SASでは自動車の事故率が高いという事は既に欧米で報告されておりますが、我が国に於いても最近、本症候群の約33%は過去1年間に自動車事故を経験しており、82%はニアミス経験者であったという成績が報告されました。

治療について

 内科的には鼻マスク式持続陽圧呼吸法(nasal continuous positive airway pressure, nasal CPAP) があり、第一選択肢となる治療法です(図4)。上気道の内腔側から、一定の陽圧を負荷することにより上気道閉塞を防止するのが主な作用機序です。治療開始により無呼吸/低呼吸は改善し、日中の眠気もなくなり、活動度も改善します。オプションとして、歯科領域では口腔内装具を装着する方法や、耳鼻科的には咽頭腔内の形成術があります。薬物療法として現在のところ有効な薬剤はありません。

 肥満の方は減量が第一です。そのための食事のコントロールおよび適度な運動は不可欠です。また、アルコール摂取や喫煙により無呼吸発作は増加します。したがって、アルコールを控える、禁煙する等の生活上の注意が必要です。

睡眠健診のすすめ

 我が国では、睡眠呼吸障害に関する医療がやっと芽生えてきたところです。当センターでは人間ドックで受診される方にパルスオキシメータによる睡眠健診を行っております(図5)。自分で就寝前にパルスオキシメータを装着し、睡眠中の酸素飽和度の変化をモニターすることによって、酸素飽和度が下がったり上がったりする頻度を知ることが出来ます。これは無呼吸や低呼吸に伴っておこる変化です。この頻度が1時間で15回以上起こっている場合にはSASが強く疑われ、精密検査を行うことになります。この睡眠健診で多くのSASの方が発見されております。本症候群を早期診断し、治療に向けた早期対応が重要となります。その意味で人間ドックにおける睡眠健診はその意義が極めて高いと思われます。

おわりに

 SASについて紹介致しました。仙台市にはSASの患者さんが約5万人いると推定されています。しかし治療の恩恵を受けている方は僅かです。今やSAS診療は一部の専門医のみでは対応しきれない状況となっており、集学的アプローチや医療連携が不可欠です(図6)。SAS本人は睡眠中の呼吸異常を認識していません。したがって早期発見にはベットパートナーや家族の協力が不可欠です。SASでは?と思われる症状に気づかれましたら、東北公済病院もしくは最寄りの医療機関にご相談ください。

 本稿は仙台市医師会企画発行 健康だより(2013.No103)間歇的ないびきは黄信号!−睡眠時無呼吸症候群 および 平成27年10月31日に開催された国分町市民大学主催 第12回市民公開セミナーで講演内容をもとにまとめたものです。

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睡眠時無呼吸と循環器疾患の意外な関係

—いびきを治してあなたの心臓を守ろう−

東北公済病院循環器内科部長 鈴木 秀

 睡眠時無呼吸症候群とは、夜間就寝中に呼吸が停止する症候群であり、現在その有病率は高く、21世紀の国民病とまで言われています。しかし、この症候群の歴史は意外に浅く、つい20年前の1993年になって初めて、一般的な疾患として周知されるようになりました。さらに、航空機事故やチェルノブイリ原発事故などの社会現象にも深く関与している事が知られるようになりました。

 日本国内の睡眠時無呼吸患者数は、200万人とも、300万人とも言われていますが、実際診断を受け治療されているのは、その10%から20%にすぎません。これほど医療情報が叛乱する世の中で診断が下されず無呼吸患者が放置されてしまうのはなぜでしょうか?これには、この疾患のいくつかの特殊性が関与しています。そもそも、“呼吸”が“止まる”のは、寝ている間の事なので、患者本人はなかなか気付きません。症状らしい症状は、日中の眠気であり、これは、夜間無呼吸のいわば影絵を見ているようなもので、必ずしも明確な症状が現れるとは限らず、人によって感じ方もまちまちです。昨日は疲れていたから、とか最近ストレスでよく寝られていないから、などと片付け、これが病気だとはなかなか思いません。このため、本人はなかなか病院へ足を運ばない訳です。その一方で、例えば患者さんの奥さん等、ベッドパートナーが“いびきがうるさい”、とか“いびきが収まったと思ったら呼吸も止まっていた”と指摘することこそ、この病気の発見に繋がります。また、本日の市民講座などを聞いて、自分自身が睡眠時無呼吸症候群ではないか、と疑い、検診、人間ドックを受けることも重要と考えられます。

 さて、睡眠時無呼吸症候群は、そもそもなぜ治療したくてはいけないのでしょうか?私たちは、呼吸をする事により、体の中に酸素を取り込み、その酸素があらゆる生命活動を可能にしています。ものを食べればそれを消化するのに酸素を必要としますし、歩行などの運動をする際にも酸素は必要です。睡眠時無呼吸症候群患者では、夜間断続的に呼吸が停止し、そのたびに体が低酸素にさらされる訳ですから、それが体に良い訳がありません。この低酸素がストレスとなり、交感神経の緊張を高め、高血圧、心房細動などの不整脈を引き起こします。実際睡眠時無呼吸患者では健常人と比較して、高血圧が2倍、心房細動等の不整脈は5倍あると言われています。さらには、これらが引き金となり、動脈硬化を進展させ、脳血管障害、心筋梗塞、夜間突然死等生命に関わる重篤な疾患を引き起こします。ちなみに心筋梗塞、脳血管障害も健常人の4倍発症すると言われています。このように就寝中の無呼吸は、動脈硬化疾患と深く関与しており、重症の睡眠時無呼吸症候群であることは、心筋梗塞、脳梗塞等の直接命に関わる病気、あるいは寝たきりに成ってしまうような重篤な病気の予備軍である、と考えられます。

 しかし、早く発見され、適切な治療を行えば、恐ろしい病気に成る事を予防できます。最近になって、重症の睡眠時無呼吸症候群でも、持続陽圧呼吸療法(CPAP)で治療すれば、心血管系の病気で死亡する率が健常人と変わりない事が解っています。繰り返しますが、睡眠時無呼吸は、寝ている間の事なので本人は気がつきにくいという側面があります。まずは、この病気の存在を知り、疑う事が大切です。そうして、病院を受診し検査を受け、適切な治療を受けて下さい。そうする事により、あなたの体を、脳卒中、心臓病等の恐ろしい病気から予防してください。
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