東北公済病院(とうほくこうさいびょういん) 形成外科 乳房再建

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乳房再建とは

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診療方針  乳がんの治療によって失われた乳房の形態を、手術によりできるだけ元の形に復元するのが乳房再建です。乳房を失うことによる影響は、人により様々です。たとえば、以下のように感じられることもあるでしょう。
  • 襟ぐりの大きな服が着られない。
  • 補正パッドや補正下着を身につけるのがわずらわしい。
  • 温泉に行けない。人前で着替えられない。
  • 自分の裸体を見るのがつらい。
  • 乳房だけでなく、色々なものを失ったように感じてしまう。
 これではせっかく乳がんを克服しても、元通りの生活とは言えません。このような気持ちになることは、年齢に関係なく女性としてごく普通のことです。失いかけていた普通の生活を取り戻したい、病気で我慢した分、これからの人生をより良く生きたい。乳房再建はその手助けとなるかもしれません。形成外科では当院乳腺外科と協力して、「乳房のある生活を取り戻すこと」を目標として治療に取り組んで参ります。
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当院での乳房再建数

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診療方針  当院では2009年より乳房再建専門外来を開設しました。2012年からは乳房治療・再建センターを開設し、乳腺外科とともに治療に当たっています。
 当科では、2016年の1年間で200件を越える乳房再建に関連する手術を行っています。
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乳房再建の時期について

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診療方針 乳がん手術と同時に行う方法(一次再建)
 早期の乳がんであれば、乳房切除と同時に再建手術を開始できます。通常は組織拡張器(エキスパンダー)というシリコン製の水風船のような医療器具を入れておき、数ヶ月かけて膨らませた後に、インプラントか自家組織で再建します。

乳がんの治療が完了してから行う方法(二次再建)
 乳がんの治療が完了してからでも、乳腺外科の診察で問題がなければ乳房再建はいつでもできます。ただし、乳房とともに大胸筋が切除されていたり、放射線治療を受けている場合にはエキスパンダーやインプラントを用いた再建が困難となるため、皮膚や脂肪を使った再建が必要です。
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乳房再建の方法について

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診療方針  乳房のふくらみを再建する方法には大きく分けて、人工乳房による再建と自家組織(自分の皮膚や脂肪)による再建があります。ほとんどの場合、乳がん手術による皮膚の不足がありますので、まずはエキスパンダー(組織拡張器)というシリコン製の水風船のような医療器具を胸の筋肉の下に入れます。2〜3週間ごとに通院で組織拡張器に生理食塩水を注入し、胸の皮膚を拡張します。そして最初の手術から6ヶ月以上たって十分に皮膚が伸びてから組織拡張器を取り出し、人工乳房や自家組織に入れ替える手術を行います。
 皮膚の状況によってはエキスパンダーを使用せず、1回の手術で再建を行った方が良い場合もあります(放射線療法後など)。診察の上、担当医にご相談ください。

@シリコンインプラント(人工乳房)を用いる方法
 2013年から保険適応となった方法です。乳がん手術の傷を利用して、エキスパンダーからインプラントに入れ替えるので、体の負担も少なく、乳房以外の他の部分に傷がつきません。入院期間が短く、通常の生活や、仕事に早く復帰できるなどの利点があります。
 しかし、人工乳房は永久的なものではなく、劣化により破れる可能性や、変形を生じる可能性があります。このような場合や、感染を生じた場合などには、人工乳房の入れ替えなど再手術を行うメンテナンスが必要となります。

※乳房再建用エキスパンダーおよびインプラントを保険で使用するためには、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の施設認定が必要です。当院は2013年7月に一次・二次再建の実施施設として認定されています。

A自家組織(自分の背中や下腹部の皮膚・皮下脂肪)を用いる方法
 患者さん自身の皮膚や皮下脂肪の豊富な部分を胸に移動してふくらみを作る方法です。自分の組織を使うため、一度なじんでしまえば、インプラントのような破損の心配やメンテナンスの必要がありません。インプラントでは再現できない胸元や腋の下近くの厚み、下垂した形態や、自然な柔らかさのある乳房をつくることができます。しかし、体の他の部分から組織を移動するため手術時間や入院期間が長くなります。
 これには主に次の二つの方法があります。

●下腹部穿通枝皮弁法(腹直筋皮弁法)
 下腹部の組織を、血管吻合を行って胸に移動し乳房のふくらみを作る方法です。使える皮膚や組織量が豊富にあるので自然な大きい乳房も再建することが可能です。下腹部に傷が出来ますが、下着を着ければ見えない位置です。組織の移動に際し、吻合した血管が詰まって組織が壊死する可能性がありますが、ごくまれです。
 この方法は一般的には腹直筋皮弁とも呼ばれ、腹筋の一部を採取するため筋力が弱くなる可能性があります。このような合併症が生じないように、当院では腹直筋を全く採取しない下腹部穿通枝皮弁(深下腹壁動脈穿通枝皮弁)や、浅下腹壁動脈皮弁(SIEA皮弁)という改良された手術方法により乳房再建を行っています。

●広背筋皮弁法
 背中にある広背筋という筋肉と周囲の脂肪組織を、血管がつながったまま乳房部へ移動して乳房のふくらみを作ります。背中の脂肪量はあまり多くないので、小さめの乳房を作るのに適しています。
 広背筋は主に脇を締めるときに働く筋肉の一つですが、他の筋肉が補助するので日常生活上、支障が出ることはありません。乳房と同じ側の背中に傷が生じます。

B脂肪注入法
 近年注目を集めている再建法として、脂肪注入法があります。大腿部や腹部から脂肪吸引を行い、これを注入して乳房のふくらみを作ります。また、乳房再建後などのかたちの修正にも使用することが可能です。
 傷が増えず、身体の負担も少ないのが利点で、生着すれば人工乳房のようなメンテナンスも不要です。
 ただし、1回の手術で注入できる脂肪の量が限られているため、ほとんどの場合、複数回の手術が必要です。また、現在のところ大きめの乳房の再建はできません。
 なお、脂肪注入は健康保険がきかないため自費診療となります。
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乳頭・乳輪再建

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診療方針  乳房のふくらみを再建してから6ヶ月ほどすると腫れが収まり、形や位置が落ち着いてきますので、乳頭をつくることが可能になります。反対側の乳頭を半分移植する方法や、再建した乳房の皮膚を星形に切って組み立てる方法などで乳頭をつくります。局所麻酔で行いますので入院の必要がありません。
 乳頭再建から数ヶ月して傷が落ち着いたら、乳輪を形成します。医療用タトゥー(入れ墨)を用いる方法が簡便です。局所麻酔ですので入院は必要ありません。なお、医療用タトゥーは自費診療となります。
 このほか、皮膚移植により再建する方法や、温泉に行くときなどの機会にのみ、シリコン製の人工乳輪乳頭を胸に貼る方法などがあります。
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費費用について

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診療方針  再建には健康保険がきく手術と、健康保険がきかない自費の手術があるので、以下にまとめます。

保険適応の手術
•インプラント(人工乳房)
•下腹部穿通枝皮弁(腹直筋皮弁)
•広背筋皮弁
•乳頭再建
•皮膚移植を用いた乳輪再建

自費手術
•脂肪注入
•医療用タトゥーを用いた乳輪再建
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おわりに

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診療方針  以上のように、乳房再建には様々な方法があり、どれも一長一短です。千差万別な再建方法の中から、患者さんの状況やライフスタイル、希望に合わせて、最も適した方法を患者さんとともに検討します。どうぞお気軽に担当医にご相談ください。
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